出逢えてよかった
この星に降りて、出逢えてよかった
人、光景、愛しい瞬間のことを
言の葉にして、のこしておきたい
あなたの忘れられないシーンについて
よかったら伝えてください
逢坂 透
瞬間の言の葉
大きな鳥居のように、ドンっと立っているあなたが好きで仕方なかった。あなたに出逢えてよかった。
あなたのくしゃくしゃの下手くそな笑顔が、その慣れていない感じがよかった。だからあなたを選んだの。
「わたしちょっと強いの」そう言って拳を握った君を見たときに、ずっと側にいようと思ったんだ。
木枯らしに前髪が揺れて、少し紅くなった君の頬の両側に、ツイードのコートの衿が立っている。そんな君の表情を正面から見つめることを許されている僕は最高にしあわせだ。
「送別会の挨拶をお願いします」と、初めて話しかけてきた君の瞳の特別さに気付いた。深く濡れたような黒の奥から、光の粒が溢れ出す、間違いなく僕がみた一番美しいものだった。
何がしあわせかって、君が腕の中にあって、大好きなその髪に鼻先を埋めても怒られないでいられることだよ。
